「楯状地と卓状地の違いって何?」「覚え方がうまく覚えられない…」「どこに分布しているのか地図を見てもよくわからない」
地理の授業や試験対策で一度はそんな疑問を抱いたことはありませんか?
楯状地と卓状地は、どちらも「安定陸塊」に含まれる大地の古い部分ですが、地層の構造やでき方、さらには見た目の形まで異なります。
加えて、構造平野や準平原といった関連用語もセットで出てくるため、混乱しやすいテーマでもあります。
鉄鉱石のような資源の分布とも関係するため、正確に理解しておくことが地理の得点アップにもつながります。
この記事では、「楯状地と卓状地の違い」を中心に、各地形の特徴や地層の成り立ち、世界での分布、そして覚えやすい語呂合わせなどを交えながら、簡単に整理していきます。
地理が苦手な方でも、視覚的に理解できるよう図解的な説明を意識し、成績アップにつながる内容をまとめました。
この記事を読むとわかること
- 楯状地と卓状地の違いと成り立ち
- 覚えやすい語呂合わせや暗記のコツ
- 世界の分布がどこにあるかの把握
- 構造平野・準平原との関係の理解
楯状地と卓状地の違いを簡単に解説

- 楯状地と卓状地の定義と基本の形
- 安定陸塊との関係を押さえよう
- 構造平野・準平原との違いも確認
- 楯状地と卓状地の覚え方・語呂合わせ
- 地質年代の違いと地層の特徴を比較
楯状地と卓状地の定義と基本の形
楯状地と卓状地は、どちらも大陸の古い部分に広がる地形であり、地質学では「安定陸塊」に含まれる地域として分類されます。
この2つの違いを理解するには、まずそれぞれがどのような特徴を持つのかを整理する必要があります。
楯状地とは、非常に古い地層、具体的には先カンブリア時代(約5億年以上前)の岩石が地表に露出している地域を指します。
長い年月をかけて雨や風によって削られ、なだらかな地形が広がっているのが特徴です。
この形が中世の楯を伏せたように見えることから、「楯状地」という名前が付けられました。
カナダ楯状地やバルト楯状地などが代表的な例です。
一方、卓状地は同じく古い基盤岩の上に、古生代や中生代以降に堆積した地層が水平に重なっている地域です。
平らなテーブルのように見えるため、「卓状地(テーブルランド)」と呼ばれます。
その構造上、楯状地よりも表面がより平坦であることが多いです。
例としては、シベリア卓状地やロシア卓状地が挙げられます。
両者とも非常に安定した大地ではありますが、地表に現れている地層やその形によって名称が分かれているのです。
この違いをイメージすることが、学習の第一歩になります。
安定陸塊との関係を押さえよう
楯状地と卓状地のどちらも、「安定陸塊(または安定地塊)」と呼ばれる地質構造の一部にあたります。
安定陸塊とは、プレートの境界から離れた位置にあり、過去の造山活動(大陸ができる過程)によって形成された後、長い間ほとんど地殻変動が起きていない安定した地域のことです。
この安定陸塊の中で、地表に先カンブリア時代の基盤岩がそのまま露出している地域が楯状地です。
それに対して、同じ基盤岩の上に堆積岩の地層が水平に重なっているものが卓状地と呼ばれます。
安定陸塊に分類されるこれらの地域は、地震や火山活動が非常に少ないことで知られています。
このため、鉱産資源の開発が行われやすく、経済的にも重要なエリアとされてきました。
注意点としては、安定陸塊だからといってすべてが同じ地形ではないということです。
実際には、地域によって隆起や沈降の度合いが異なり、その結果として楯状地や卓状地に分類されるのです。
地質構造を理解する上で、「安定陸塊」という広い枠組みの中に、それぞれの地形がどう位置づけられているのかを知ることが大切です。
構造平野・準平原との違いも確認
楯状地と卓状地を学ぶと、必ず登場するのが「構造平野」と「準平原」という用語です。
これらは地形の見た目ではなく、「どのようにしてできたか」という成因に注目した分類になります。
準平原は、かつて存在していた山地が長年の侵食によって削られ、ほぼ平坦になった地形を指します。
この過程では地層の種類に関係なく、地形がなだらかになることが特徴です。
楯状地の多くは、この準平原の代表的な形態といえます。
一方で構造平野は、もともと水平あるいはゆるやかに傾いた地層が浸食された結果、硬い層が削られずに残ったことで形成される平野です。
地層の構造がそのまま地形に反映されており、卓状地はこうした構造平野の一種として見ることができます。
メサやビュート、ケスタといった典型的な小地形が構造平野に見られるのも特徴の一つです。
つまり、楯状地≒準平原、卓状地≒構造平野という関係がありますが、これはあくまでも一般的な傾向であり、すべてに当てはまるわけではありません。
見た目と成因、どちらの視点からも理解することが混乱を避けるコツです。
楯状地と卓状地の覚え方・語呂合わせ
楯状地と卓状地の違いは、見た目も名前も似ているため、多くの人が混乱しがちです。
そこで覚えやすくするために、語呂合わせやイメージを活用すると効果的です。
まず「楯状地」は、楯を伏せたようななだらかな地形という特徴を思い出してください。
この形から「楯(たて)=丸みを帯びた形」と覚えると良いでしょう。
また「しん(真)に古い=たて(楯)」と連想して、「楯状地は地層が真に古い、むき出しの大地」と記憶しておくと便利です。
一方で「卓状地」は、テーブル(卓)状の平らな地形がポイントです。
「たくさん(卓)重なった地層」といった覚え方で、水平に堆積した地層が重なる様子をイメージできます。
また、「卓=高いテーブル=上に何かが乗っている」と考えれば、古い基盤岩の上に堆積岩が乗っていることが理解しやすくなります。
このように、形や構造を言葉に置き換えることで、記憶に定着させやすくなります。
学校の授業やテスト勉強でも役立つ方法ですので、暗記に苦手意識のある方はぜひ取り入れてみてください。
地質年代の違いと地層の特徴を比較
楯状地と卓状地は、見た目だけでなく、地質年代や地層の成り立ちにも明確な違いがあります。
この違いを押さえることで、なぜその地形が形成されたのかがより深く理解できます。
まず、楯状地に露出している地層は、地球の歴史の中でも非常に古い「先カンブリア時代」の岩石です。
この時代は地球誕生から約5.4億年前までの期間を指し、楯状地ではその時期の花崗岩や片麻岩などの硬い岩石が地表に現れています。
こうした地層は、長年の風化や浸食に耐え抜いてきたため、表面がなだらかに平坦化されています。
一方、卓状地では、同じ先カンブリア時代の基盤岩の上に、古生代や中生代以降の堆積岩が積み重なっています。
これらの堆積層は、かつてその地域が海底であった時代に、土砂や泥が沈殿してできたものです。
その後、地殻変動により陸地として隆起した際、地層がほぼ水平に保たれていたため、テーブルのような平らな地形が形成されました。
このように、楯状地は古くからの地層がむき出しであり、卓状地は比較的新しい堆積物が地表を覆っている点が大きな違いです。
地層の年代や成り立ちの違いを知ることで、それぞれの地形の意味がよりはっきりと見えてきます。
試験に出る楯状地と卓状地の違いの要点

- 世界の楯状地と卓状地はどこにある?
- 地図で分かる楯状地・卓状地の分布
- 鉄鉱石などの資源と分布の関係性
- 卓状地と構造平野の地形例を紹介
- 楯状地と準平原に見られる地形例
- 高校地理レベルでの整理と復習
世界の楯状地と卓状地はどこにある?
楯状地と卓状地は、世界中の大陸に点在しています。
これらは、いずれも非常に古い地質構造を持つ地域で、主に大陸の内部に広がっているのが特徴です。
楯状地の代表例として最もよく知られているのがカナダ楯状地です。
カナダの五大湖周辺からラブラドル高原、さらにグリーンランドにかけて広がる巨大な地域で、先カンブリア時代の岩石が広く露出しています。
次に挙げられるのが、バルト楯状地です。
これは北欧のスウェーデン、フィンランド、ノルウェー南部、ロシア北西部にまたがる地域に広がっています。
さらに、オーストラリア楯状地も代表的で、特に西オーストラリア州の広い範囲がこれに該当します。
一方、卓状地の代表格は、ロシア卓状地とシベリア卓状地です。
ロシア卓状地は、ウラル山脈の西側に広がる東ヨーロッパ平原に位置し、堆積岩が広がる平坦な地形です。
シベリア卓状地は、ウラル山脈の東側に位置し、アジアの北部に広がっています。
このように、楯状地と卓状地は北米・ユーラシア・オーストラリアなど各大陸に分布していますが、特に中緯度~高緯度に多く見られます。
それぞれの地形の分布を知ることで、地球の大地の成り立ちや安定した地域の特徴をつかみやすくなります。
地図で分かる楯状地・卓状地の分布
楯状地や卓状地の分布は、世界地図や地質図を使うことで一目で理解できます。
特に高校の地理の教科書や地図帳には、これらの地形が色分けされて表示されているので、地理の学習に非常に役立ちます。
楯状地は、地質図でオレンジや茶色などの「先カンブリア時代の地層」を示す色で描かれていることが多く、カナダ・北欧・西オーストラリアなどに大きく分布しています。
これらの地域では、地層がむき出しになっていて、標高も比較的低く、なだらかな丘陵や平原が広がっています。
卓状地は、古生代~中生代の堆積岩が広がる地域として、ピンクや黄土色などで塗られていることが多いです。
ロシア西部の広大なロシア卓状地や、シベリア中央部のシベリア卓状地が典型的な例です。
これらは地質構造が安定しており、地形もほぼ水平なので、見た目にも平らで特徴的です。
このように、色や地質構造の記号を理解して地図を読むことで、視覚的に楯状地・卓状地の分布を把握することが可能になります。
また、試験でも図や地図が出題されることがあるため、地図帳を使って何度も確認することが効果的です。
鉄鉱石などの資源と分布の関係性
楯状地や卓状地は、鉱産資源、とりわけ鉄鉱石の産出地として非常に重要な地域です。
これは、長い地質の歴史と安定した地殻構造によって、鉱石が地中で豊富に蓄積されたためです。
楯状地では、先カンブリア時代の古い地層が地表に現れており、その中に含まれる鉄鉱床が発見されやすいという特徴があります。
例えば、カナダ楯状地の中にあるラブラドル地方は鉄鉱石の豊富な産地として知られています。
また、オーストラリアの西部に広がる楯状地には、ピルバラ地区という世界有数の鉄鉱石産出地があります。
ここでは露天掘りによる大規模な鉱山開発が行われており、鉄鉱石の輸出も盛んです。
卓状地においても、上に堆積した地層の中に金属資源が見つかることがありますが、鉱床の露出が少ないため、発見や採掘には高度な技術が必要になります。
そのため、実際の資源開発においては楯状地の方が注目されやすい傾向があります。
資源の分布を学ぶことは、単なる地理の知識にとどまらず、経済活動や国際貿易の理解にもつながります。
その意味でも、楯状地や卓状地が持つ資源の特性は地理の重要ポイントといえます。
卓状地と構造平野の地形例を紹介
卓状地に見られる代表的な地形として、「構造平野」があります。
これは、地層が水平もしくは緩やかに傾いたまま侵食されて形成される、広く平坦な地形のことです。
構造平野の中でも特に有名な地形が、メサ(mesa)やビュート(butte)です。
メサは、硬い岩盤の上に柔らかい堆積物が積もっており、侵食によって周囲が削られ、テーブル状に残った地形です。
アメリカのアリゾナ州やユタ州に見られるモニュメントバレーなどがその例です。
ビュートは、メサがさらに侵食されて細くなり、塔のようにそびえ立つ地形です。
こちらもアメリカ西部に多く存在し、観光地としても有名です。
また、ケスタ(cuesta)という地形も構造平野の一部として知られています。
これは、硬い岩層と柔らかい岩層が交互に重なり、緩やかに傾いた状態で侵食された結果、非対称の丘陵が形成されたものです。
フランスのパリ盆地やイギリスのロンドン盆地などで見られます。
このような地形は、地質構造と浸食の関係がよく分かる例であり、教科書や図解と合わせて理解することで、地理の知識がより深まります。
楯状地と準平原に見られる地形例
楯状地の多くには、「準平原」と呼ばれる地形が見られます。
これは長い年月にわたって山地が浸食され、ほぼ平らになった地形のことです。
例えば、カナダ楯状地では、かつての山地が完全に削られ、現在では広大ななだらかな高原や丘陵が広がっています。
その地表には、モナドノック(残丘)という小さな丘が点在することがあります。
これは硬い岩石だけが削られずに残っている地形で、準平原の中でもひときわ目立つ存在です。
また、オーストラリア西部の楯状地でも、似たような地形が観察されます。
浸食に強い岩石がわずかに残り、周囲の平坦な大地との対比でその特徴が浮き上がります。
準平原は一見すると特徴がないように感じられるかもしれませんが、実はその形成過程こそが重要な地理的情報を含んでいます。
地形がなだらかであればあるほど、長期間にわたって地殻変動がなかった証拠でもあります。
このような地形を知ることで、ただの平地に見える土地にも複雑な歴史があることに気付けるはずです。
高校地理レベルでの整理と復習
楯状地と卓状地について、高校地理で問われる内容は限られていますが、しっかりとポイントを押さえておくことが重要です。
基本的には、「どちらも安定陸塊に属する」こと、「地層の年代と構造が異なる」こと、「見た目の形で分類される」ことを理解しておきましょう。
よく出題されるポイントは次の3つです。
1つ目は、「楯状地は先カンブリア時代の地層が露出している」という点です。
これは地表に何も積もっていないため、むき出しの基盤岩が特徴です。
2つ目は、「卓状地はその基盤岩の上に水平な堆積岩が乗っている」という構造です。
この違いを押さえるだけで、名称を混同することが減ります。
3つ目は、地形との関係性です。
楯状地と準平原、卓状地と構造平野がセットで理解されることが多いため、関連づけて記憶しておくと効果的です。
この分野は選択問題や地図問題でも問われるため、見た目の特徴や位置情報をビジュアルと一緒に覚えることが得点アップにつながります。
暗記だけに頼るのではなく、「なぜそうなるのか」を理解することが地理の学習においては非常に大切です。
楯状地と卓状地の違いをわかりやすくまとめ
ここでは、これまでの内容を踏まえて「楯状地」と「卓状地」の違いを中心に、ポイントを箇条書きで整理してみます。
高校地理の学習や受験対策、そして理解の定着に役立つ内容をギュッと詰め込みました。
難しそうに感じる言葉もありますが、一つひとつを丁寧に見ていけば、しっかり理解できるようになります。
- 楯状地と卓状地は、どちらも「安定陸塊」に分類される地域です。
- 安定陸塊とは、大地の中でも特に長期間にわたって地殻変動が少なかった安定した部分を指します。
- 楯状地では、先カンブリア時代の非常に古い地層が地表に露出しています。
- 卓状地は、同じく古い基盤岩の上に中生代や古生代の堆積岩が水平に重なっています。
- 見た目でいうと、楯状地は「楯(たて)を伏せたようななだらかな形」が特徴です。
- 一方、卓状地は「テーブルのように平らな形」をしています。
- 楯状地は準平原に分類されることが多く、長年の侵食で平坦になった地形です。
- 卓状地は構造平野の一種とされ、堆積層の地質構造がそのまま地形に反映されています。
- 楯状地の例としては、カナダ楯状地・バルト楯状地・オーストラリア楯状地などがあります。
- 卓状地は、ロシア卓状地やシベリア卓状地などが代表的です。
- 楯状地には鉄鉱石などの鉱産資源が多く、特に露天掘りがしやすい点も特徴です。
- 卓状地にも資源がありますが、堆積層の下にあるため開発には技術が必要です。
- 卓状地ではメサ・ビュート・ケスタなど、構造が地形に表れる地形例が豊富に見られます。
- 楯状地では、モナドノック(残丘)などの小さな丘が点在する準平原が形成されています。
- 「楯=古いむき出しの地層」「卓=古い地層の上に乗った平らな堆積層」と覚えると整理しやすいです。
このように、楯状地と卓状地は地質や形だけでなく、成り立ちや見られる地形にも違いがあります。
それぞれの特徴を理解すれば、地理の問題にも自信を持って対応できるようになります。
参考サイト