9月4日に発売された『Dr.STONE(ドクターストーン)』2巻を読みました。
1巻のラストでは千空や大樹たちは司と対立することになり、2巻はその続きからのスタート。2巻も1巻に引き続き、文句なく面白かったです。
[st-card id=”3728″]
2巻もKindleで購入。2巻も冒頭はAmazonで立ち読みすることができます。
それではさっそく『ドクターストーン』2巻のあらすじと感想を書いていきます。ネタバレありですのでご注意ください。
ドクターストーン2巻のあらすじ
司と戦うための武器、火薬を作るため、原料となる硫黄を箱根に採取しに来た千空や大樹たち。でも司はそのたくらみに気づいてあとを追っていたのでした。
火薬の原料を集め、火薬をつくることに成功した千空たち。ですがちょうどその時、遠くの森から狼煙が上がります。
この世界には千空たち以外にも人類がいて、火薬の煙に気づいた何者かが合図のために狼煙を上げたのか。それともこれは司の策略なのか。
判断に迷う千空たちですが、未知の人類との出会いに賭けてこちらからも狼煙で合図を送ることにします。
ところが、合図を送ることによって、あとを追ってきていた司に居場所が見つかってしまいます。忍び寄ってきた司は杠を人質にとり、千空に取引を持ちかけます。
その取引とは、杠の命と引き換えに石化復活液のレシピを教えること。駆け引きに持ち込もうとした千空ですが、結局司に石化復活液のレシピを教えることになります。
これで取引終了かと思いきや、今度は司は千空を脅迫してきます。脅迫の内容とは、科学文明の進歩を目指すことをやめてくれということ。
ですが千空はこの脅迫に応じません。司は千空の首の裏の頚椎に打撃を加え、千空は死んでしてしまいます。
でも実は千空はあらかじめこういう事態を予測していたのですね。千空は首の後ろに一部、石化を解かずに残しておいていたのです。
ドクターストーンの世界では石化から復活すると、傷などが修復されるという設定がありました。
千空の首の後ろに石化が残っていることに気がついた大樹は、そこに石化復活液をかけます。すると、折られた頚椎も元にもどって千空は生き返ります。
生き返った千空は新たな策を考えます。それは、大樹と杠はスパイとして司の仲間になり、自分は狼煙で合図を送ってきた未知の人類に会いにいくということ。
狼煙が上がった場所に千空が行くと、そこにはコハクと名乗る少女がいたのでした。
ドクターストーン2巻の感想
ドクターストーン2巻もやっぱり文句なく面白かったです。1巻の時点では、まだ物語がこの先どう進むのか方向性が見えない部分もあったのですが、2巻ではストーリーの方向性が読者にもはっきりと見えてきたという感じです。
千空と大樹どちらが主人公なの? という疑問も1巻の時点ではあったのですが、2巻でこの物語の主人公は千空であるということがはっきりしました。
まっすぐでピュアなスポーツマンタイプの大樹と、皮肉屋で科学オタクの千空。普通の少年漫画であれば大樹みたいなタイプが主人公になりやすいので、千空のようなタイプの主人公は新しいですね。
でも、千空も大樹どちらも主人公になりうる魅力的なキャラクターですし、司もダークヒーローとして魅力的なキャラクターです。ドクターストーンという漫画に関しては、誰が主人公であるかというようなことは考える必要はないかもしれないですね。
千空が司に一時的に殺されたあと、ストーリーは一旦過去に遡って、千空が石化から目覚めてから大樹が目覚めるまでの間、たった1人でゼロから生活の基盤を作り出すエピソードが描かれます。
このエピソードでは千空の決して諦めない信念が描かれていました。主人公にふさわしい性格の持ち主ですよね。
千空がなぜ自分だけ石化が解かれたのか考えるシーンでは、この漫画の特徴である科学にもとづいた理屈っぽさが全開になります。千空は石化してからずっと頭を使って考えていた。脳の消費カロリーは1日約400キロカロリー。3700年分のエネルギー換算だと2兆ジュールという膨大なエネルギーになる。
アインシュタインが唱えた、エネルギーと物は等価交換(E=mc^2)という大原則から考えると、無からそんなエネルギーが生まれるわけはない。すなわち、石に含まれている何かのエネルギーを消費することによって脳を働かすことができたし、エネルギーが消費されたことによって千空の石化は解かれたという仮説が浮かび上がります。
こうした科学的な根拠をしっかり示すことで、単なるファンタジーではなく上質なSFとして楽しめるようになってるんですよね。子供が読めば、科学に興味をもつきっかけにもなりそうです。
過去の千空エピソードでは、千空と大樹の友情と信頼の深さも描かれます。千空はたった1人で孤独と戦いながら、なんとか大樹を石化から解こうと奮闘していたんですね。みんなの前ではクールさを崩さない千空の「お前がいなきゃダメなんだ。戻ってこい大樹」という心からの叫びと、同じように千空を助けようとする大樹の思いが交差するシーン。これは名シーンでした。
4.千空過去編から現代へ…(WJ28)
当時はなんでここで過去編やるんだろうと思ってたけど、千空が大樹を復活させるのに尽力してたのを見せるためだったんだなぁって。そして現代で、大樹が千空を復活させるのに尽力してて、上手い構成だなーって思った#2017上半期ジャンプベストシーン pic.twitter.com/jKFEe0vVcx— パーピー (@parpie_fi) 2017年8月15日
ただ、ここまで千空と大樹の友情を強調するということは、逆にこれから敵対関係に陥ってしまうというような展開もありえるんじゃないかなと思ったりするんですよね。
大樹と杠はスパイとして司のもとへ行き、千空とは別行動をすることになります。
敵役の司は決して根っからの悪人ではないんですよね。悪人というわけではなく、目的のためなら手段をいとわないというキャラクターです。司がそのような思想を持つことになった原因も、読者に共感させるような描写でした。
いってみれば司はダークヒーローです。大樹も司の思想に共感したり同情することになるという展開もなくはないんじゃないかと予想します。
もちろん、本気で千空と大樹が敵対するということはないと思います。ジャンプ的な展開としては、司もいずれ仲間になって、司を超えるような力をもったさらなる悪役が現れるという展開になっていきそう。
千空が出会ったコハクは、この世界で生まれ育った人間であるということが分かりました。つまり、ずいぶん前に復活した人間がいて、その数世代あとの子孫であるということです。またコハクの村には40人ほど、コハクと同じような人間がいるということです。
この展開は面白いですね。ただ、こういう人たちがいるということは、単純に人類を石化からもとにもどせばいいというわけにもいかなくなりそうです。
続きもますます面白くなりそうですね。以上、ドクターストーン2巻の紹介と感想でした。
2巻の伏線考察
2巻では、石化はなぜ起こったのか、千空が考えるシーンがありました。
千空が考えた仮説は3つ。「宇宙人の化学攻撃説」「どっかの国の軍事兵器説」「新種ウイルス説」です。
ハッキリしているのは、人間とツバメだけがピンポイントで石化してしまったということ。
ツバメは石化したけど、鳥類が石化したわけではないのかな。このあたりは謎のキーになりそうですね。
ただ、石化から解かれるときの高い修復力から、これは本当は「攻撃」ではないのではないかという疑問も生じました。この疑問から「Dr.STONE」というタイトルが回収されることになります。
・石化はなぜ起こったのか(誰かの意思によるものなのか)。
・石化は人類に対する攻撃なのか。それとも救いであるのか。
・「鳥類」ではなく「ツバメ」だけが石化するのはなぜなのか。
このあたりの謎がこれからの伏線になっていきそうです。