こんにちは!くまらぼです。
2月24日から公開されている映画『ラ・ラ・ランド』をさっそく観てきました。
『ラ・ラ・ランド』は、2017年の第89回アカデミー賞で13部門14ノミネートされている話題作。
超話題作なので間違いないだろうと、特に前情報のない状態で観に行ったのですが、本当に素晴らしい映画でした。
いろいろな感情が揺さぶられて「やっぱり映画っていいなあ」としみじみ感じさせられました。
この作品を映画館で観ることができて本当に良かったと思います。
別の人生もあったかもしれないと思っている人、忘れられない恋をしたことがある人にはぜひオススメしたい作品です。
僕が観に行ったのは、公開日翌日の2月25日。
ミュージカル映画なので音楽を堪能したいということでIMAXで観てきました!
すごく臨場感のある迫力ある音響で、通常より高いお金をだしてIMAXにした価値はあったと思います。
通常料金に200円プラスするだけでこれだけすごい音響を楽しめるんですから、映画の世界に浸るならIMAXで観るのが絶対いいと思います。
映画のなかでもミュージカル映画ほどIMAXに向いてるもののはないですね!
それでは、『ラ・ラ・ランド』について紹介していきます。
この記事の内容
『ラ・ラ・ランド』はどんな映画?
物語の舞台はハリウッド。
主人公は二人いて、一人は女優を夢見るミアという女性。
ハリウッドのワーナースタジオの中にあるカフェでウエイトレスをしながら、オーディションを受けまくっていますが、なかなか受かりません。
ミアを演じるのはエマ・ストーン。ものすごく目が大きい女優さんで、なんとなくチワワっぽい顔をしています。個人的には市川実和子にも少し似ていると思います。
もう一人の主人公はセバスチャンという売れないジャズ・ピアニスト。
オールドスタイルのジャズを愛するジャズオタクで、自分の好きな音楽を演奏できるジャズバーを経営することを夢見ています。
演じているのはライアン・ゴズリング。劇中でセバスチャンがピアノを弾くシーンは、ライアン・ゴズリング本人が演奏しているそうですよ。
ストーリーの大筋は、そんな夢見る二人が出会い、恋に落ち、現実にぶつかりながらも夢に向かって進んでいくという話です。
映画とジャズへの愛に満ちたミュージカル
この映画の楽しいところは、ハリウッド映画とジャズへの愛に溢れているところです。
いろいろな映画へのオマージュがあちこちに散りばめられているので、映画好きの人、特に60年代~70年代くらいのハリウッド映画が好きな人にはたまらないと思います。
ミュージカルのシーンも、僕が気づいただけでも『雨に唄えば』や『ウエストサイドストーリー』のあのシーンのオマージュだなと気づいたシーンがありましたので、映画に詳しい人が観れば、このシーンはあの映画のオマージュだと、いろいろ気づくことがあると思います。
『ラ・ラ・ランド』の中で、映画と同じくらい重要な位置を占めているのがジャズ。
セバスチャンは古き良きモダン・ジャズを愛するジャズ・ピアニストなのですが、ジャズというジャンルの音楽が受け入れられにくくなっている現実とぶつかっています。
そんななかで夢と現実に折り合いをつけながらジャズという音楽に関わっていこうとするセバスチャンの姿が描かれます。
劇中では、セバスチャンの愛するモダンジャズの名曲がたくさん流れますので、ジャズ入門としても楽しめると思います。
ネタバレありの紹介と感想
ここからはネタバレありで、僕が考えたことなども交えつつ映画の紹介をしていきます。
1回観ただけで理解しきれていない部分もありますし、僕の単なる想像も混ざっていますのでご注意ください。
『ラ・ラ・ランド』というタイトルの意味は?
『ラ・ラ・ランド』というタイトルは、『La La Land』と書きます。
『La La Land』の「LA」というのは、おそらくロサンゼルスのことを意味しているのだと思います。
僕はこの映画を観ている途中で、なんとなくこの物語の主人公は、ミアとセバスチャンの二人というよりも、その二人も含めたロサンゼルスという街そのものだというような気がしてきました。
映画の幕開けは、ロサンゼルスへ向かう渋滞した高速道路で突然始まるミュージカルのシーンです。
『ラ・ラ・ランド』はミュージカル映画ですが、一般的なミュージカル映画にありがちな大人数で突然歌い踊りだすという大規模なシーンは、映画冒頭のこのシーンだけです。
この冒頭のシーンでは、映画の主人公であるミアとセバスチャンにはまったく焦点があてられていません。
主人公の二人も大勢の群衆の一人としてしか描かれていません。
僕は、一番最初に歌いだした女性がこの映画の主人公なのかなと思ったくらいです。
このあとのミュージカルシーンは、徐々に徐々に規模が小さくなっていきます。
高速道路の大群衆のあとは、ミアと女友達四人、そのあとはミアとセバスチャンの二人、そして最後はそれぞれ一人と、だんだん広角から望遠になっていくように、主人公たちに焦点があたっていきます。
こういう表現から僕が感じたのは、この映画の主人公は「ロサンゼルスという街で夢と現実に翻弄されるすべての人々」で、映画ではたまたまミアとセバスチャンにスポットが当たったにすぎないということでした。
冒頭の群衆一人ひとりに物語があり、そうした人々の物語をドラマチックに演出するのがロサンゼルスという街だという解釈です。
夢と現実を行き来する、ミュージカルという特性をうまく活かした映画
ミュージカル映画はそもそも、会話のなかで突然歌いだしたりと非現実的なものです。
そうした非現実的なところが嫌でミュージカル映画は苦手だという人も多いと思いますが、『ラ・ラ・ランド』はそうした不自然さをあまり感じさせない演出もうまいなと感じました。
たとえば、ストーリーの最初のほうで、ミアとセバスチャンが丘の上でタップダンスを踊るというミュージカルシーンがあるのですが、そのシーンの前に、ミアはカバンからタップシューズを取り出して履き替えるんですね。
このへんの演出は、ギャグとも捉えることができますし、映画のなかのミュージカルのシーンはそもそもミアやセバスチャンの夢か妄想で、意図的に現実から切り離している演出とも捉えることができます。
細部にもこだわった演出、情報量が多くて一度では理解しきれない?
映画の中では、夢と現実を行き来する演出として、小道具がうまく使われているなと感じました。
セバスチャンは、古き良き音楽や映画を愛する男性で、身につけるものもレトロな雰囲気のスーツですし、音楽はレコードで聴き、車もクラシックなオープンカーです。
一方、ミアも古くてレトロなものが好きなようで、ファッションは50~60年代風のレトロでポップな服をよく着ています。
ですが、そんなレトロなものを愛するミアが乗っている車はシルバーのトヨタのプリウスなんですね。
これは、ハリウッドではみんなやたらとプリウスに乗ってる(環境を意識したセレブたちがよく乗っているそうです)ということをネタにしているのかもしれないですが、ミアが乗る車としてプリウスを選ぶというのはなんとなく違和感を感じました。
セバスチャンが乗っているクラシックなアメ車のオープンカーが夢の世界を象徴しているとすれば、プリウスは現実や合理性を象徴しているような気がします。
そんなプリウスは、劇中ではミアが夢から覚めるというシーンで印象的に使われています。
たとえば、最初にミアとセバスチャンが丘の上で踊るシーンでは、ミアの車が見つからないという流れから、二人で丘の上まで歩いていって踊るという場面につながります。そして、そのシーンが終わった直後、目の前にプリウスがあったことに気がつくんですね。
また、ミアが一人芝居の舞台で失敗して女優を諦めようとしているときにもプリウスが登場します。
こんな感じで、他のシーンでも夢と現実を切り替えるスイッチとして小道具がうまく使われているます。
(レトロでポップなものを愛しながらもシルバーのプリウスに乗っているというのは、ミアという女性のキャラクターを象徴してるようにも思えます。このあたりはラストへの伏線にもなっているのかもしれません)
こういう点に着目すれば、映画をより楽しめると思います。
ラストシーンの解釈
映画のラストでは、ミアのオーディションから5年後が描かれます。
輝く太陽と青空が描かれた幕がカメラから離れると、現実の世界が映し出されます。
そこではミアは女優として成功しているようです。
以前のようにレトロでカラフルなファッションではなく、現代的でシックなファッションに身を包んでいるミア。
小さな女の子も生まれていますが、ミアの夫として家にいるのはセバスチャンではない別の男性です。
ミアは夫と外出しているとき、たまたま聞き慣れた音楽が流れているバーを見つけ、中に入ります。
そこはどうやらセバスチャンが経営しているジャズバーのようで、そこそこ繁盛もしているようです。
ミアとセバスチャンはお互いに気づき、セバスチャンはミアの前でピアノを弾きはじめます。
そして、そのピアノの音色とともに、ミアは夢の世界に入っていくのです。
その夢の世界とは、セバスチャンと歩んでいたかもしれないであろう人生。
1~2分ほどの短いシーンですが、そこで描かれるのは人形劇や舞台劇のような演出を取り入れた不思議な映像の世界。
その夢の世界での人生では、5年前、ミアはオーディションに合格してパリに行き、セバスチャンもともにパリへ渡ります。
パリで、ミアは女優として、セバスチャンは演奏家として花開き、二人は結婚。
ピンクのペンキを自分たちで塗ったカラフルな家に住み、子供にも恵まれています。
僕が思うに、この夢のシーンはミアのかなえたかった理想の人生だったのだと思います。
そして、こうした理想を心に抱いているということは、現実は理想の人生ではなかったと感じているということ。
はっきりとは分からなかったのですが、ミアの夫は、映画の最初のほうでミアと付き合っていたグレッグのような気がしました。
最初のほうでグレッグたちとミアが食事をするシーンの会話では、グレッグは経済力があり、映画関連の人脈もあるように見えました。
5年前のシーンは、ミアがオーディションを受けたところで終わっていて、オーディションの結果もその後どのような人生を送ったかも分からない空白の5年間があります。
これは想像なのですが、ミアはやはり自分の実力では女優になるという夢をかなえることはできなかったのではないでしょうか。
おそらくどこかの時点で女優になるという夢をかなえるため、元カレのグレッグの人脈を使い、結果として成功したのだと思います。
でもそれとは引き換えに、愛や生き生きとした夢を失ってしまい、現実の世界を生きることになります。
どんよりとしたミアの表情やシックな服装は、そうしたミアの心情を映し出しているように思えました。
このラストシーンの解釈は、本当に人それぞれ、観る人によって解釈が変わるんじゃないかと思います。
100人いれば100通りの解釈があると思いますが、短い時間に人生の切なさや楽しさ、厳しさがギュッと濃縮された名シーンです。
もしかしたら別の人生もあったんじゃないかという、心のどこかに抱いている感情が揺さぶられる感動的なシーンでした。
愛し合っていても、やっぱり結ばれないこともあるんだというラストは本当に切なかったです。
でも現実の世界を生きていくためには捨てなければならないものもあります。
最後に目を見合わせてミアとセバスチャンは別れます。お互いの寂しそうな笑顔が印象的な素晴らしいラストでした。
おわりに
『ラ・ラ・ランド』は評価が高いだけあって、本当に素晴らしい映画でした。
迫力ある映像や派手なシーンはありませんが、夢を追いかけることや人を愛することについてしみじみと考えさせれる傑作です。
「あ~やっぱり映画っていいなあ」。観終わったあとそんな感覚に浸ることができる、そんな映画です。
ぜひ映画館で観て、物語の世界に浸ってほしいですね。
以上、『ラ・ラ・ランド』の紹介と感想でした。
おまけ
『ラ・ラ・ランド』予告ムービー
La La Land (2016 Movie) Official Clip – “City Of Stars”
La La Land (2016 Movie) Official Teaser Trailer – ‘Audition (The Fools Who Dream)’
音楽がすごく良かったので、サウンドトラックも欲しいです!